2002年05月05日

デュアルCPU機の静音化

この記事は以前HTMLページで公開していたものをBlog記事化して編入したものです。当サイト最長の記事です。管理省力化のためURLが変わりました。

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実験・人柱・文・写真・絵:真魚(mao9821)


おやくそく
ここの情報を読んで貴方が何をしようと、執筆編集者の私、真魚とは全く関係ないことであり、このページの情報によって発生したとされる一切の事故に対して私は、一切の責任を負わない、という事をこの文章を以て定義するものとし、以後を読覧された場合、これを了解したこととみなします。
ご自分の責任で行動してください。

いいわけ
このページをまとめてから半年。色々知るようになってきて、ときおり赤面してしまう思考手順を発見してしまったりでなんとも。特にファン選定は、PCの場合は圧力差の把握が最も大事な模様です。
でも一応、引き続き掲載を続けます。(笑)

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レッスン1
部品配置効率向上による消音化2000


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上の図はワタシの初めてのデュアルCPUマシン、SEGATASAANSHIRO-GTRである。
98年建造より3年かけて熟成した究極の機体であるが、その苦労話は今回はしないでおこう。単刀直入、冷却改造話に徹することにしよう。
ちなみに、これから紹介する計3台の中でおそらく最も静か、いや、本当の意味の消音を達成していたマシンこそ、基本を忠実に満たす改造を施したこの初代デュアルマシンである事も、先にふれておこう。
図を見ていただければわかるが、多くふれる事なかれ、冷気は下方へ、暖気は上方へと流れるものである。これを最大の基本とする事を常に忘れてはならない。無論、内部を這う信号線、電源線のまとめ方は慎重を極めるべきである事は言うまでもない。

(尚、対流図は付着した粉塵を徹底的に観察、解析したものより出来る限り正確に割り出したものである。又、最初にご覧戴いた図は99年頃の、まだ完成に至っていない頃の図ゆえに、細部がかなり異なっているのはご了承)

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下部には拡張ボードが空き無しでズラリと並ぶ。そこからの発熱は全てあわせてCPU1個分を少々上回る程の熱量となっている(当時)。ここへ、前部吸気口より単純に導かれた冷気が下りる。そしてぬるい程度に加熱される。その上には、ASUS P/I-P65UP5w/C-PKNDによって真横に並べられたCOMPAQ式pentiumIIの300MHzのSMP構成。それぞれ背負うのは、ファンを持たないアルミ削りだしヒートシンクである。この発熱源がほぼ、筐体内中央部に位置する。ここで一気に暖められた暖気は、中速ファン1個が生み出す程の風量に達していた。
これを上部換気口、電源吸気口、そして中部排気ファンへと導く。風とは、それ自体が熱量を帯びていても流れを持つことで冷却する効果が生まれるものである(と、何時か何処かで聞いた)、で、途中、風量による冷却に期待してHDDを設置。実際HDDに当たる風の温度はどんなに高くても38度を超えることは無かった。と、これが最上部にあるHDDにまつわった冷却であるが・・、ここで付け加えると、筐体天板は2重鋼板である。そしてそれは後部にある音響物に対して、異様なくらいの消音効果を発揮していた。よって、この後部位置のディスクはアクセスの激しいドライブの場所となる。

嬉しいことに当時のAT電源の冷却ファンとは、非常に静かに作られている物が多く、もっとも現在のATXの様に非常に低い電圧を他種類出力するなんて事をしていなかったからだったのだけれど、とにかくファン自体の発音が静か、もしくは1m離れての感音が大凡ゼロになるよう設計されていたのだ。と、くれば、問題は1点に集中してくる。それは、自然冷却デュアルの膨大な熱量をメインで強制排気する中央強制排気ファン、それだ。(図では最も赤矢印が集中している真ん中部分のファン)

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これは実際数多く実験してみてたどり着いた、もっとも静かなファンの取り付け方である。
”静か”ということに到達するにはそもそも、”効率”という物を追求せねばならない。かつて日本が飛行機王国とよばれし頃に世界記録に挑んだ「航研機」、その飛行機のプロペラ設計にまつわって、「エンジンの馬力を最も効率よく使うためにはプロペラの設計に無駄があってはならない。無駄の無いプロペラとは、回転時に無駄な乱流が生まれることが無いということ、結果的に非常に静かな回転音となった」との話を大切な参考とした。取った行動を極論で書いていけば、先ず、風導の障害となる筐体の網(プレス打ち抜きのあの穴)を切り取る。どうせケースの買い取り金額なんて10円なのだから、ためらわず切り取ろう。安全面を気にしてはいけない。静かにするには代償を払わねばならないのである。どうしても気になる方は、断面円形、針金製の網を使うしかないが・・・
次に、上図のようにファンそのものを外に出すかたちで設置する。これは第一に、切り取ったバリに風が当たった乱流で起きる排気干渉を避け、第二に、吸気側空間の確保による導流効率の向上(自動車エンジンの吸気装置で云う処のサージタンク、若しくはインテークコレクターに相当する)、第三に、音響反響とその再干渉による騒音増幅を徹底的に防ぐ為の最良の処置なのである。実際、85年頃のパーソナルコンピュータ(確かIBMだった気がする)で見られた設置方法。ミテクレの好みは分かれるだろうが(ワタシは大好き)、そもそも普段全然目にすること無い後部の話ゆえ、割り切ってしまったほうが見返りは非常に大きな結果となるのである。
そして数多く実験し性能や騒音を比べていった中で、最終的に使用していたファンをあげれば、山洋電機のサーモスタット付き無段階風量自動可変ファン、これであった。温度センサーは大凡に熱気が集中する筐体内中央部の、見た目もズバリ、サージタンクとなっている箇所に置いた。結果を記せば、このファンが全開運転をする事は殆どなかったと云っていいだろう。また、全開運転をする場合は室温が30度近い時にSETI@Home等のCPU全開系のプログラムや連続してPhotoshopやPremire等でコンピュータを酷使している場合のみに限られた。

こうして、部品配置の最適化だけによって、アイドリングおよびネット閲覧等軽作業時の完全な消音稼働の実現を達成したのが当機体なのである。発熱部のヒートシンク形状が似ていて、それ故思い出し、廃熱にまつわる部分を参考にした自動車、ポルシェにあやかって、以上をポルシェチューンと呼ぶこととしている。

つけくわえてファンのお話。

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:しっかり設計された物は効率が高く、静かなファンの形状。反面、品質が悪いとうるさいだけの紙一重。日本の会社でも当たりはずれが有る。
:山洋電機の得意な形状、ウチワ型。本来、船舶スクリューで云えば20rpm程の低回転軸に、1万馬力以上に対応するズルザーディーゼルのトルクをぶち込む時に使われる低速形状なのだが・・、同社は相当上手い設計をしている様で静かかつ高効率。
:私的にはあまり評価出来ない形状。どのような条件下でどのような得意性能を持つのかもいまいち解らない。内周、外周と速度が違うにも関わらず一定した面積の翼を確保している故、乱流発生による騒音が予想される。しかし、参考にしたポルシェを初めとするフェルジナンドポルシェの空冷エンジン冷却ファンはこの形状だったりするので、やはり謎は深い。但、上手くひねってあればタービンブレードとなり、動翼の後ろに静翼が備われば有利。
:川崎重工の高速スクリューで知った形状。PC用のファンでこんなんあったら、とりあえず速攻買います。
:1番と似てるのですがこちらは三菱電機が開発した換気扇の翼(を真似て描きました)。曲線の設計がソートーにミソらしい。非常に静かな換気扇です。故に、近い形状の1を選びたくなるワタシなのであります。

尚、以上は幼い頃からのファン大好き人間の目による観察だけによる蘊蓄なので資料的信憑性を期待してはいけません。



レッスン1・まとめ

・慎重に煮詰めていこう。
・常に理にかなう事をする。パッと見、出来る限りシンプルな物にする。
・ファン選定には、畑を越えて資料を集めに行こう。

おまけ

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スケルトンにするべきメカとはこういう物をいう。
(当時の初代iMacへの対抗意識)






レッスン2
甦れ栄光!実用静音への挑戦プロジェクト 2001


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米国Hewlett Packard社のグラフィックワークステーション、VISUALIZEシリーズをご存じだろうか?かの、シリコングラフィックスと並んで評価されている3次元画像コンピュータなのだが・・、販売はディーラという形式をとり普段は滅多にお目にかかることはない、一設備200万円コースのブルジョワマシンである。それが業界の新陳代謝の流れで、ときより格安で中古市場に流れてくる事があるのだ。そしてそれがまた、質実剛健たる、そしてジツにグラフィックコンピュータライクな外観、まるで、シリコングラフィックスのスーパーコンピュータ・Onyxに負けじとも劣らない、なんともコンピュータ好きを一目惚れさせてくれる様なデザインをしているワケで・・・、それにガブリと食いついてしまったワタシはその後、とんでもない静音化改造を強いられる事となったわけなのである。そしてこの機体でもって、思いっきり技術を鍛え上げられる事となっちゃったのである。
Hewlett Packard KAYAK XW VISUALIZE X550。
このスバラシイお名前が、ワタシの買った機体であった。だが・・・・・
胸躍り、心拍数上昇するファーストコンタクトは粉塵ショートによるメモリダンブエラーであった。

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上の図はノーマル状態でのファン配置と空気の対流である。ご覧の通りファンによる強制流動は、全て吸気になっており、導入された空気の排気については、後方グリルからの自然排気と、最下層電源部に備わる2つの・・とはいえ内部部品密度が高いゆえに期待薄の強制排気にゆだねられていた。この結果、内部の空気はよどみ、その上大量の粉塵が導入、蓄積され、集積回路パッケージの細部にびっしりと付着していたのである。また、CPUの他に集積度の高い回路すなわち、ジオメトリーエンジンを腹に持つための先入観の設計か、全ての冷却ファンの回転数が異常に高く、必要を遙かに上回る外気をそこらじゅうから取り入れようとしていた。結果、内部に埃をため込みつつ騒音も高々と、それはまるで空気清浄機・・、いや、掃除機と同じ次元に到達している冷却システムなのであった。

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反応炉を包むダクトシステムと、その中に収まる
CPU以外の発熱体、Voltage Reguration Module


先ず行ったことは、問題の後部上方吸気ファンの逆転配置である。吸気から排気へ。これは自然対流の理にそった廃熱促進を狙うものであるが、CPUのヒートシンクとしては吸引されるよりも吹きつけ冷却のほうがいささか効率が良いのも事実だ。だがしかし計測して比べてみた処、その差は大凡に4度もなかった。定格駆動のCPUコアにとっては、全然影響のない許容範囲十分である(とはいっても独特のC-SRAMを抱えてコアも0.25ミクロンの初代P3xeonの発熱はそこら辺のオーバークロックAthlonを凌駕する)。この処置によって、それまで筐体内の粉塵が一手に集まってしまい強いては火災の危険性をも重度に持っていた、下部電源への冷気供給質の圧倒的改善と、吹きつけCPUヒートシンクの共鳴振動&エアダクト共鳴による騒音を10%ほど改善する事となった。

しかし、まだまだ途方もなく五月蠅い。ジツにうるさい。前面に吹き抜けで備わった、Seagateの誇る一万回転ハードディスク・Cheetaとそれを冷却する0.3アンペアの8cm・超高回転のファン。起動から2分ほどで回転を始めるVISUALIZE冷却用0.43アンペアの9cm・超高速ファンはもはやタービンと化している。更に、pentium3xeonコア内ダイオード計測およびCPU占有率のハードウェア監視を統括して温度管理をするという激凝ったシステムと連動し、年がら年中リアルタイムで回転が上がったり下がったりして凄く気になるCPU冷却用ファン(0.43A・9cm)。つけくわえて電源装置は2つの中速回転ファンを排気抵抗たっぷりな安全網の後ろで回転させている。はたして前のオーナーはこんな機械を使って、本当にクリエイティブな作業を出来たのだろうか?

プうぉ〜〜〜〜〜ん
ぼふぉぁがーーーーーーー
うがーーーーーーーーー
うわ〜〜〜んうわ〜〜んわ〜んわんわん・・
ごほ〜〜〜うぉうぉぉ〜〜わわ〜

当時の記録より。

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ジオメトリーエンジン
Hewlett Packard VISUALIZE fx6+

過剰な冷却思想にも、ただ一つ、賛同できる程の凄い発熱源があった。ジオメトリーエンジン、VISUALIZE fx6+、それである。友人YRM氏が試しに自前のお手製パソコンに挿した処、そのあまりの大消費電力にマザーボード側レギュレータが耐えられず、レギュレータ自らの発熱でハンダを融解、自らマザーボードより射出座席で脱出した程の逸話を生んだシステムである。
見れば一目瞭然。大電力を喰いそうな超大規模集積演算回路がX-Y-Zそれぞれ個別に3つ、それを統括してAGPに接続する集積回路、外部化されたRAMDACまでヒートシンクを備えている。そして、写真メインに映っているアルミ削りだし(しかもバッファ肉厚)のヒートシンクは、自然放熱ではなく、ファンによる強制冷却を前提とした形状設計となっているのである。そんな、電力を熱に変換するためのボードが、VISUALIZE fx6+だ。(違)
これの使用感というと、それはもう外部RAMDACによる非常に美しい色相再現性は折り紙付きで、平面描画性能も必要十分以上の性能が光る。ジツに無駄な事に、肝心なOpenGL3Dをワタシが全く必要としないのがなんとももったいない。もっともったいないのが、このボード、凄い三次元性能を持つにも関わらず、DirectXを全然サポートしないところである。もっともZバッファを持っていないとの事、ワイヤーフレーム関連の演算に秀でる物の、他の性能はGeForce等に劣るとの事である。つまり、作られた当時にいかに最先端だろうとも、その最先端中の最先端を誇った物は、時が流れると悲しいかな”ランニングコストが高く性能もおぼつかない専用品”としての価値しか見いだせずに、後の時代の汎用性の高い、最先端から一歩身を置いた低価格製品にブチ抜かれてゆく哀れを見るだけなのである。
悲しい前置きが長くなったが、結論は、発色性能に未練を残しながらもこのVISUALIZEを潔く切り捨て、筐体内の熱アベレージを下げ、他のまだまだ余力を残す回路の延命に徹する事とした。(長い前置きのクセして単純な結論、ということはこの際いいっこ無し)

そうしてようやくウルサいファンの一つを撤去する事ができるようになったのだが・・・
遂に最大の問題が発生した。

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CPU冷却、HDD冷却、そしてVISUALIZE冷却と、その3つのファンの電源はマザーボード上の所定のコネクターより提供されている。そしてその回路は・・・、過剰なまでの高回転冷却(そのわりに効率最悪の)設計思想の想いが託されたシステム、その名もMaxi Lifeという統括自己診断システムへと繋がっているのである。ならば話せるじゃないか!と思われる方も多いかと思う。しかし、一般の自作AT互換機のBIOSの様に、設定的にファンを停止させる項目は一切無し!それどころか、ファンのモーターは+と-の2線による単純駆動であるにもかかわらず、そのグランド側からモーターの回転ノイズを探り、その上、電流の二重積分計測を常に行い、そのモーターの調子をリアルタイムで診断、投入電圧に対する定格回転数が落ちたり、異物を噛んで停止したり、もちろん接続コネクターを抜くなんぞ愚挙に出たならばすかさず・・・

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怒り狂うのである。

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抜き差しのしすぎで折っちゃったCPU FANコネクタ(左)
機嫌取るのが実に難しかったHDD FANコネクタ(右)

ちなみに、Maxi Lifeのファン制御とエラー表示とがどのような関係を持っているかを、それはそれは一か八かの実験をたっくさーんしたわけで・・
例えば、自動車のウインカーに使われる12Vの電球を繋いで負荷をかけてみたらば、異常抵抗物と判断され電流すら流してくれず、また、発光ダイオードと抵抗で負荷を掛けてみてもエラーを出す(マイナス端子からモーターの回転ノイズをも検出していることを知る)。ならばと、通常の8cmファンを2個直列にして電圧を下げた稼働を試せばエラー。もちろんファンと直列に抵抗入れるなんざとっくにエラー。とにかく一筋縄じゃぁ、簡単にこちらの意図を見破りやがるのだ。
なお、折った箇所のグランド接続は基盤裏にて。しかし、マイナス極に書かれる△マークが、実にあらゆる意味を示しているのではナイカナ〜。

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この赤線でかこった僅かなシステムに、ああも凝りまくった回路が作られているとは、このマニュアルをまとめた人間は知るよしもなかっただろう。とにかく、結論として、ファンモーターへと電流を供給するコネクタの稼働を停止させる事は御法度、そしてその出力電流の加工も隠れ忍ぶ如くやるべし、という事が痛いほど解った。

挑戦1。
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12Vをきっちり消費してくれるファンで、回ってる騒音が耳障りにならない程度の小さいファンを抵抗物として使用した。3カ所のコネクターよりそれぞれ個別、計3個のこの小型ファンをどっからか持ってきて使用。HDDは低発熱の7200rpmの機械になっていたからCPUの廃熱さえしてくれればよかった故、メインのファンはCPUファンのみ。又それは、汎用電源線の5V(黒黒)より電気を取って低速回転駆動、お手軽静音。
結果。
ローマ一日にして成らず。崇高な精神で創造されたものというのは時に、安直な精神で挑む結果を破壊する事がある。最初の挑戦は・・・・・
小電流しか消費しないモーターをMaxi Lifeは、もっと回せるハズだ!と判断した。そして15ボルトの電圧をぶち込んで対処をしはじめていたのだった。そうして知らぬはオーナーばかりなり。2週間ほど過ぎたある日、再びエラーメッセージが出るようになったのに気が付き観察してみれば。都合の良い抵抗器という職務を健気にこなしていた小さきモーターは、焼き切れていた。

挑戦2。
とりあえず駄目になったファンを、高額高級の日本製に取り替えてみた〜。
結果。
耐圧はあるものの、ベアリングのこなれ、コイルの異常劣化(といっても微妙な世界のお話だが)等もろもろの要因が考えられるが、とにかく、モーターのこなれ(と判断)によって再びエラーが出始めた。

挑戦3。
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汎用秘密兵器、DC/DCコンバーターの登場。マイナス端子非絶縁型。同期整流方式チョッパー制御とか云う、まるで電車の制御装置並の感涙的装置である。写真はイーター電機のユニットを使い自作モジュール化して、配線の容易化と、(低電圧によるファン起動時の異常低回転を、MaxiLifeの回転検出に悟られない為に検出回路の探信電力を遅延させる為の)電解コンデンサー、のチューニング時の容量変更が容易に出来るようにしたもの。
で、何をしますかと申しますと。さっぱりワケ解らない出力をする電力を一端この彼に入れてあげて、徹底して整流、そして低圧に変電、完全安定の6Vで、大電流のCPU冷却ファンを負荷としようではないか!、という事なのであります。また、マイナス端子非絶縁型を選んだというのは、無論、マイナス極でワケわからんいろんな事をやってくださる故の、バイパスを期待しての選定。以上のこれを、CPUファン出力へと繋いだ。
−と、最初はいきなりエラーだったものの、いままでと表示が違う。CPU側は正常に回転するもHDD側が異常検出時のインターバル出力(一定期間OFF、再びONにして異常からの正常復帰を探っている)になり、HDD側につけておいたファンが小刻みにON/OFFされる。が、MaxiLife液晶にはCPU FANのエラーと表示されているではないか。−ここに、CPUファンとHDDファンの電力バックボーンの一致とその抵抗値の天秤の存在を発見しちゃうのである。この後の膨大なる苦労話は端折って結論のみ書けば、DC/DCコンバータとCPUファン、HDDファンと発光ダイオードモジュール(緑LED+抵抗680Ω)を並列にした物にて、大凡に電流の天秤が確保されたらしく、エラーは出なくなる。以前のような無駄なファンが減り、実に良い気分であった。(下の写真は、DC/DCコンバータモジュールと、抵抗に使われたLEDと実験的に長時間確認したい回路のパイロットランプにしたLEDをまとめたモジュール)

結果。
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歴史は繰り返す。
HDDファンに使用していたファンがこなれ過ぎてきたようで、容赦なくエラーが出始める。おまけに、正常だった他2箇所までエラーを出すようになる。手に負えなくなる。どうやらエラーが出たとたんの一端OFFになる瞬間の電力バランスの崩れを、MaxiLifeは敏感に察知、ご丁寧に異常を知らせてくれる。つくづくお利口なシステムである。もう、かなり泣きたくなっていたワタシであった。

挑戦4。
しからば素人の本気を出しましょう。
先ず、これまでに蓄積したノウハウを記しておこう。
ファン電源コネクタは3つ。うち、CPUコネクタが最も電圧が制御される(そのリニアな出力特性からすれば制御方法はPWM-Pulse Width Modulationかと思われる)。またこの出力は、前部HDDファン電源と、バックボーンを同じに持っているようだ、と、エラー表示の組み合わせから探り当てる。とは別に、下部VISUALIZE用ファン電源は全く別の回路をバックボーンにして、また初回起動後2分程の時間をもって作動する処をみると、微妙に別の制御回路若しくはタイマー制御が行われている、前記2回路とはほぼ別の電源出力ではないか・・。という事である。
では、CPUファンとHDDファンの出力を並列にまとめてみようではないか!との素人発想が全開となる。書いたように、CPUファンへの電圧出力はリアルタイムで制御されており、詰まるところ電位差があるわけで、わけわかんない回路の何処かで、わけわかんない逆流が発生する事が容易に予想される。だがしかし、ここまで精神汚染をしてくれるシステムならば、耐逆流のダイオードの1個や2個、絶対有るはずだっ!!間違いない!PWMなんてやってくれるんだからダイオードくらい・・
無謀な挑戦は・・・、
結果。
あっさり却下される〜。

挑戦5。
長い戦いも遂に、追加軍資金1820円の投入によって終焉を迎える時がやってきた。もはや苦労を語るのも億劫だ。早速構成を記そう。CPUファン電源を相変わらずDC/DCコンバータにぶち込む。それでCPUファンを駆動する。そして今回更に追加されたのは・・・

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E231系・・失礼、新型DC/DCコンバータモジュールである。配線も1号機よりもずっとシンプルに改良し、電解コンデンサーも最適容量に固定化した(が、後にこちらはコンデンサーが無いほうが良い事が判明。正確にはDC/DCコンバータ上のチップコンデンサーの容量で十分ということで、コンデンサーの回路は切られることとなった)。このモジュールをHDD冷却用ファン出力に接続、得られる低電圧を・・、最後までうるさいファンとして王位を継承していた電源ファンの低回転化に使用する事とした。この先は蘊蓄よりも最終形態の写真をおみせしたい。なお、VISUALIZEファンの電源は、バックボーンが別系統らしいのが不幸中の幸い、前記2カ所の電力バランスとは無関係に、小規模の負荷をかけておくことが出来ることが判明したため、こちらは12V出力をそのまま、お手製加工の両面テープ接着式のハードディスク冷却用マイクロクーラーの電源として使用した。

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1:CPUファンを司るDC/DCコンバータ
2:内蔵化されたLED抵抗モジュール
3:追加されたDC/DCコンバータ
4:VISUALIZE冷却ファンの通常電源で回るHDD冷却ファン
5:HDD冷却ファンの変圧電源で回る電源冷却ファン
6:参考に電源内部。都合良くヒートシンク群が偏っており、ファンの吸引をそれに対応させて稼働数を2個から1個へと減らし、設置方法も変えて効率改善を図る。

なお、紹介した最終回路構成の他に、内部機器の消費電力バランスによって対応していく何通りかの回路がありました。もっとも、VISUALIZE X550をこんなふうな静音改造を行いたい、という方はもう少ないかと思われますので、この機体にまつわった電力周りのお話はこれ以上は控えさせていただきます。
最後に、この機体に行った音響対策を紹介して、2章をしめくくることにいたします。

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前面吸気口を全て塞ぎ、後部換気口からの空気取り入れに徹して
循環効率の向上と消音を狙う。材質は全て布テープ、2〜3重重ね。

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エアダクトの共鳴振動をおさえるためのテーピング処置。
使用テープは絶縁用の普通のビニールテープ。

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HDDの消音処置。材質は1cm厚発泡スチロールと布テープ。
但しSCSIディスクゆえにあえて低音が出るようで、
さすがに貫通性が高い低周波を消去する事は不可能だった。
それでも、流行りのSmartDriveよりも効果大。後部解放式の上、
上の写真4番の様にファンもあり冷却性能も必要十分以上を確保。

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布テープで二重テーピングされた筐体のガワ。
トヨタのセルシオやクラウンのボンネットを参考。
松下電器の洗濯機の静音処置された鋼板並の消音性を発揮。
私見では流行りの吸音鉛テープより性能は上。
違いは不燃性可燃性か。

こうして、決してクリエイティブなシーンに似合わない程に破壊的轟音を放出していたHewlett Packard KAYAK XW X550(“VISUALIZE”が取れてる)は、とっても静かな−、ある意味、「手のつけられないオオカミ」から「オオカミの皮を被った羊」へと変貌を遂げたのである。俗にメーカーパソコンで、「図書館に置いて気にならない騒音(=30dbほど)」という美辞麗句を見ることがあるが、正直おそらく、その30dbは確実にクリアして、おそらく20dbをも下回るくらいに静かになっていたはずである。今となっては実機が既に無いのでなんとも評価が出来ないのが残念なところであるが。とにかく、当初の、たぶん、200デシベルはあったんじゃないか(もっち冗談ね)っちゅうくらいの爆音からは想像もつかない、お淑やかで素敵なコンピュータへ変貌を遂げていた事は事実です。



レッスン2・まとめ
・メーカー製コンピュータの静音化は、取り組む前に鋼鉄のような心の準備を。
・しっかりしたヒートシンクが用意されていて、そして、対流の為の効率的空間がきちんと確保されているならば、ためらわずファンの回転を落とすべし。
・古くて専門性が高く発熱と消費電力のデカい回路は涙をのんで切り捨てるべし。
・ファンの低回転化には、汎用5Vの他にDC/DCコンバータを用いて6V,8V,10Vで安定駆動させる方法がある。またこれは、特殊なハードウェア式自己診断装置によって冷却管理されている場合の改造に有効な手段のひとつとなる。
・単にファンの回転を落とすだけならば、固定抵抗や半固定抵抗、可変抵抗を挟んでも面白い。(ただしこちらは発熱がある上、不安定駆動になりえる)
・消音材には布テープが、コスト面を含む最強のパフォーマンスを発揮する。

おまけ

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MOの耐塵・耐電磁・放熱促進処置。材質0.3mm厚アルミ。自前板金。
積もる埃が基盤を壊す。いやホント。幸い保険が利いて全交換したくらい。
最近の富士通MOって昔よりも作りが安くて困る。埃の他、DVDモータのノイズにも弱い。
ジャンパスイッチがミクロ単位で接触しそうなので絶縁を忘れずに。

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A LIFE SO CHANGED.
唐突にサウスブリッジがエラーを出すようになって儚く沈没したX550。
そしてインテル系デュアルの血統は次の世代に受け継がれていった。
BGMには映画「タイタニック」サウンドトラックより同曲をお願いします。





レッスン3
吹け上がる大電力、極超高周波半導体の廃熱に挑め! 2002


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1958年のIntegrated Circuits、ジャックキルビーの集積回路発明からいまだ半世紀すら隔てることのない21世紀初頭。個人用電算機の中央処理装置はいよいよ、秒間十億回の信号周波に対応する程となった。しかし、なかば飽和的に向上していく回路の集積度は、消費電力量に加速をかけながら、時に熱密度という言葉すら注目させて、LSIの廃熱問題を急浮上させている。

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そんなご時世、ワタシも新たなる快速コンピュータに乗り換えた。intel XEON processor、1.5GHz。そのシンメトリーマルチデュアルプロセッサーシステムである。

「メーカー製コンピュータ=自作機の様な面倒は無い」という人生観が完全に崩壊したワタシにとって、久しぶりの手作りパソコン制作というイベントを前に、腕がぽきぽき鳴った事は言うまでもない。つけくわえるならば、これまでのノウハウを結集させて、一気に熟成したコンピューターシステムを立ち上げてやろうじゃないか!との鼻息も荒かった事も確かだ。そしてその意気込みは、ファーストコンタクトで更に加速していくこととなる。

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それはもはや、感動的ファーストコンタクトだった。
数々の高速小型ファンが立てる甲高い高周波音波にまじって、PCでは初めて使うことになる12cmファンの爆音が立ち上がり重なると、それはもはや・・・、
ボーイング747が其の美しき主翼の下に誇り高く4基備えたジェネラルエレクトリックのCF6ターボファンジェットガスタービンエンジンにケロシンをトクトクと流し込み20万ポンドの噴射反動によって350トンの巨体を大地の重力から解き放っていく音、のそれと、ほぼ次元を同じくしたハーモニーとなって四畳半いっぱいに響き、なんとも機械好きの鼓膜をときめかせるほどの究極芸術となっていたからである。

だがもちろん航空機や、ナルシスティックにスポーツカーに乗るなどという非日常ならまだしも、快適なコンピューティングライフを満喫しなければならない、という日常生活空間を創出するためには、無論、このエキゾーストノートをなんとかしなければならないのが急務であり、そしていよいよ、これまで蓄積したノウハウを思う存分発揮する処なのである。この章では、ギガヘルツ時代の独特な冷却系を紹介しつつ大凡の静音・消音対策を紹介していこうと思います。





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やっぱりドキドキワクワクで箱を開ける。最高のひとときだ・・・。
しかし平和は長く続かなかった。電源装置の梱包をといた瞬間、
ふたたび動乱の時代がやってきたのである。

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火災報知器みたいな赤いランプとボタンは何?!
ワタシは再び、爆音と戦わなければいけないことを 直感した。



〜ギガヘルツ時代・夜明けの主役たち〜
(BGMは「電子立国日本の自叙伝」EDでお願いします)

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デュアルCPUバスラインを支え、ノイズから信号を守るsocket-603。
VRMにはレギュレータに代わりDC/DCコンバータかPWMか、
その手の類の高効率(低熱)安定化直流電源を垣間見る。

rdram.jpgonsen-ram.jpg

憧れのRAMBUS。800MHzの快速周波数で駆動するECC-RDRAM。
電磁波を駆逐するためのモジュール構成、そして発熱。
おちゃめな温泉マークにご注目ください。

kairo.jpgi860.jpgusa860.jpg

ノイズ耐性を考えている感じの波状遅延配線の横を数千ビットの信号線が走る。先には、Sillicon Graphics ONYXのジオメトリーエンジンにも使われていたバスコントローラーi860。その上にはスターツアンドストライプス、星条旗が誇らしげにはためく。(2016年3月5日追記:ちなみにONYXのi860はRISCプロセッサ、こっちはバスコントローラ。型番同じながら別物でした。)

p64bridge.jpglanlsi.jpg

高嶺の花だった64ビットPCIバスへのブリッジLSIも集積技術の進化でここまで小型化。先代は発熱の大御所だったintelのLANチップも、集積技術の進化で小型化、低熱化。

new-atx.jpg5tanshi.jpg

通常のATX電源に引き続き、専用形状のコネクタより宇宙の力(12V)を注ぎ込む。そしてこのような怪しい回路それぞれが、怪しい発熱を始めるのである。

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かつて、
富士通の技術者が世界初LSIスーパーコンピュータに掛けた夢。
インテルの技術者が世界初中央演算集積回路i4004にかけた夢。

全ての開発は感動から始まるんだ。
(BGMは「プロジェクトX」挿入曲でお願いします)

21世紀、吉日。
目前のパソコンに搭載されたオンチップ・スーパーコンピューターは、

産声をあげた。





その産声は感動的にけたたましかったわけで、
ワタクシにとってのプロジェクトXが始まってしまうわけなのである。

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一流の信頼を得るアメリカンマザーボードメーカー、Super Micro。その基板上に、OVERHEAT FANとの文字。はたしてこれを本気と取るべきなのか、アメリカンジョークと捉えるべきなのか。暗雲立ちこめるどころの精神状態ではない。そんなにもヤバイくらいの膨大な発熱をするものなのか。
ここで一寸紹介すれば、ワタシの購入した筐体は、このSuper Micro P4DC6という主基板に対して非常に特化しているものなのである。そして、上記、OVERHEAT FANというのはズバリ、

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後部120ミリ加農砲の事なのである。

だが・・・
おそるおそる結線した結果は予想を大きく裏切るとても嬉しい結果であった。OVERHEATなるほど、この端子からは、筐体内の空気が「これ以上はヤバイゾ」というくらいの温度に上昇する、もしくは「CPU全開で使っちゃってるゾ」という時までは、後部12cmファンへの給電は行われないようになっている、つまりファンを稼働させないようになっているシステムだったのだ。暖まってくるまでは電源に備わるファンだけで排気する仕組み。
当初ワタシは、動作確認のため添付されてきた全てのファンをとりあえず汎用の12V電源にて稼働させ、そのエキゾーストノートを堪能したわけで、それゆえの過剰な先入観があったわけだ。
しかしかといってフツーに使っている最中、唐突にこんな爆音が鳴り出すというのも、実に感慨深い。
そもそも、「ハジメチョロチョロナカパッパ、ためこんでおいて後々一括で吐き出す」なんてバッチ処理をするのならば(実にシステムは凝っているのだが)、この筐体内構成には十分な冷却のための空間が確保されていることであり、そしてなにより、XEONシステムとて過剰なまでの冷却を期待しているわけではない、ということの確認となったわけである。つまり、バッチ処理をするものを小容量リアルタイム処理とし、短縮のところ定番の、ファン回転数を下げることによって騒音対策を講じることとするのであった。よって後部12cmファンは汎用電源5Vによる駆動である。

そしていよいよ問題のCPU冷却器のお話に入ろう。
まずこれを見て欲しい。

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これは、インテル純正のXEON processor専用の特製冷却装置である。重さからすればアルミニウムなどという軽金属では決してなく、頂点をUターンさせたヒートシンクは溶接合、全体にメッキを施しているのか輝きがまぶしい。まるで、1937年のメルセデスベンツW125の鋼板溶接組み立てシリンダーヘッドの如しブルジョワジーを彷彿とさせている。だがそんな素敵な工芸品も、エアダクト部分の設計にまつわったアメリカンな大型化思想によって、全く使い物にならないのだ。右の写真、解りづらいかもしれないが、筐体の鋼板や基板上の部品に干渉し、所定の位置に全く定まることが出来ない。まことに残念きわまりない。
・・と、そんな話はさておいて。この冷却方法に注目していただきたい。直線化、パイプ化したヒートシンクに真横から風を当てる事によって放熱を行う仕組みである。
明らかにこれは、ヒートシンクとして最も効率の良い形状である。なにゆえ今までこういった物が殆ど作られず、また注目もされてこなかったのか。自作パソコンブームが引き起こした工業製品の陳腐化に嘆くところである。

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ここでひとつ、自前のスーパーカンピューター・SKX-50000による風洞シュミレートでヒートシンク効率の検証をしてみたものを記しておこう。
1:486時代に爆発的に普及したタイプ。ファンとヒートシンクが接近しすぎる為、内部は乱流の嵐、抵抗が多すぎていて、モーター下あたりに空気が非常によどんでいる。丁度その真下には最も冷やして欲しいCPUコアがくるわけだから、実に原始的としか云わざるを得ない。
2:intelのリテール流通製品に同封されることにより広まった形。pentium4も大凡この冷却方法。1よりも内部抵抗が下がり、よどみの自由度が高くなる分効率が改善されている。それでも未だ空気が直角に曲がる事を強要されるため、まだまだロスが目立つ形状である。
3:Hewlett Packardが自社LSIをオーバークロックして動かす為に開発した形状。すみません、描くの間違えました。ファン下の空洞、もっと大きかったです。で、空気を曲げていく時の流体効率を味方に付けた螺旋状ヒートシンクが特徴。絵ではかなりヒートアップしているように描いてしまったが、実際は非常に大量の熱量を高速かつ連続的に逃がす事に成功しているようである。しかし駆動モーターがCPUからの熱の直撃を受けているのが、精神衛生上非常に宜しくない。
4:i486のsocket3用のintel Pentium Over Drive Processor(63/83MHz)で出てきた形状。PPGAのP55CMMX-Pentium時代に爆発的人気を誇った。その展開を見ると山洋電機が開発したようである。仕組み的には3と近く、また歴史もこちらのほうが先なのではないかと思われる。今でもPPGAのceleronはおろかFC-PGAのpentium!!!の冷却にも非常に適した性能を発揮してくれる。又流行った当時、”より性能が上”と謳う物が出てきていたが、2の形状に近い陳腐な製品で買う気は全く起きなかった。
5:pentiumIIや初代celeronのリテール製品の冷却方法。仕組みは2と変わらず。CPUの熱量を託された風でもって、クロック耐性の低いセカンドキャッシュを冷やすという構造が、どうにも精神衛生上引っかかってしょうがない。
6:先代Hewlett Packard VISUALIZE X550のpentium!!!xeonの冷却方法。CPUコアだけではなくセカンドキャッシュメモリーの工芸的半導体、1億個からのトランジスタを誇るC-SRAMの膨大な熱量を冷却しなければならないため、エアダクトの作り込み方や、必要箇所の密閉方法が実に美しかった。そしてこの大がかりなシステムは、次の7の時代になって完成を見るのである。
7:そして今回のXEON processorの冷却方法。導流面において非常に理にかなっている。前にも書いたように、風とは流れるだけでそれ自体への冷却効果を持つ。内部で殆ど干渉させることなくスルーアウトに徹してやることによって、僅かな風量でも高い冷却効果を生むことが出来るのである。尚この冷却方法は、pentiumII時代からちらほら見かける事があったが、なぜ当時に普及できなかったのかが疑問に思えてならない。

1や2、それに5の形状を考えるたびに思う。それは、普及型の半導体冷却用ヒートシンクとは荒熱を取る事を期待されてあって、そもそも半導体コア自体それなりの温度耐久加速試験をパスした規格品であり、荒熱さえ取り除いてあげれば十分安定に駆動するように作られている。そしてスーパーコンピュータの冷却管理のようなシビアさはほとんど要求していない。ということである。もちろんこれは私見の域であるのだが、実際に放射赤外測定温度計やコア内ダイオード測定温度計で計測比較してみれば大凡に知れるところであり、なによりも、最低限度の冷却性能を確保した状態に於いて、年間を通した全力天文計算(SETI@Home)でフルタイム稼働等をやらせてみれば、大凡に確信できるものである。
又、以上は決して曖昧にやれ、と云っているわけでは無く、よくAthlonでヒートシンクの設置ミスによって冷却不全でコアを割ったとかいう事故などは論外であって、この静音化にまつわった極限冷却への道は、まさに精密かつ慎重をきわめる挑戦である事を断っておきたい。

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このお話はここでようやく主人公を迎えるのである。
写真はP4DC6に標準添付されてきたXEON processor用冷却器だ。ご覧の通り純正冷却器の仕組みを踏襲しつつ、非常にコンパクトで美しい、究極的デザインにまとまっているのが本当にスバラシイ。おそらくこの先のCPUクーラーの全てのスタンダードとなるべきであろう形ではあるまいか。
だがここでワタシは、恐るべき問題点を発見してしまうのである。
それはこのファンが、ヒートシンクに対して密接した吸引体制を取った設置となっている事であった。風の流れとしては、左の写真から入って、右の写真に映るファンで吐き出されてくるのだが・・、その吸引冷却させる概念自体にさほど問題があるわけではない。問題なのは、ファンがヒートシンクすれすれにまで接近した形で吸引を行う、という致命的設置法にある。
空気というものは、思い描くほども物理的に規制して運用できるものではない。この写真に写る装置が、普通に風を吹かせてくれる物と思ってはいけない。
管状の物を用いて空気を流通させようとする場合に最も必要となるのが、空気が動く慣性力なのである。その為には、空気がエネルギーを加えられて運動を与えられるその前、つまりファンの寸前の、回転翼に吸引される寸前、その場所に、流動の抵抗となる物理的障害があってはいけないのである。
実験してみれば一目瞭然の結果を知る事が出来るのだが・・、この際、信憑性を優先させるために身近な実例をひとつお見せしよう。それは自動車だ。

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絵は、僅か1998ccの混合気から250馬力ものエネルギー
を発生させる自然吸気エンジンの吸気系である。
その中がどうなっているかというと・・・

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一分間に何千回もピストンを上下させ、その2回に1回の割合で訪れるごく僅かな時間に、500ccのミニ牛乳パック一本分の燃料混合空気を吸い込まなければいけないエンジンの世界では、その吸気装置に独創的工夫が沢山ある。そのうちの最も重要な箇所が図のサージタンク、マニホールド、が其れだ。
このマニホールドは一見ただのパイプであるが、これは厳密な公式でシリンダー内体積の乗数空間を確保してあり、後ろに備わる、空気を貯めておく空間(パソコン用語で云うところのバッファですな)のサージタンクと連動する事によって、吸気行程を最も効率よく行い最も最適な燃焼効率につなげるためのシステムだ。そしてこれらは、吸気慣性効果と呼ばれる物理現象を応用して能率的な空気の動きを発生させるための非常に重要な空間なのである。
さてここでようやく主線に話を戻して、例の冷却器を考えて欲しい。
そのままの状態でファンを回してみると、全くと云ってイイほど空気が出てこないことだろう。多少感じられても、そのやたらにウルさい騒音の発生には全然見合わない程度の風量しか吹き出さないはずである。これはエンジンで云うところのマニホールドに相当する状態のヒートシンクの空洞空間(1つの回転翼の単位仕事時間に対応する単位体積空間)が、ファンの能力的吸気量にはあまりにもかけ離れた体積しか確保出来なくて、その結果慣性力が生まれず、それどころか、ヒートシンク一枚一枚の厚さの総計がただの空気抵抗としても働いてしまい・・、そして、ファンの回転翼にとって最も効率の悪い状態が作られているからである。
それではどの様な対策をとればよいのか。

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これが答えである。
こうする事によって今度は、ファンの回転翼にとっての最適な吸気能率が必要十分に確保され、電気エネルギーによって慣性エネルギーを得ることの出来た空気=風は、ヒートシンクの空気抵抗を耐え抜き、力強く排気口から噴出される事となるのである。もちろん、改良前とは圧倒的に効率が良いので格段に騒音が減っている事であろう。
(ちなみに、どうしても左図の吸引式で通す時は、ファンとヒートシンクの間に、サージタンク空間を設けることで解決する。これはファンの吸気能力に対応する体積を確保し、回転翼がその空間を負圧にする事でヒートシンク内に連続的な慣性力を発生させることが出来るからである。)
そして、ここで少々、要領の良い考え方にスイッチングしてみましょう。
すると、XEON processorとは、あんなに効率の悪い状態の冷却器でも十分に冷えてしまう事が判明してしまったわけである!比べて現在は、ウン百倍の風量がびゅ〜うびゅう!!ささ、5ボルト駆動さんこんにちわ〜
結果、今まで経験したこともないくらい静かで、そしてその割に非常に良く冷えてくれる強制空冷装置が誕生いたしました。(ちょっと数字を書けば、アイドリング時のヒートシンク温度は室温同等、全開演算中のヒートシンク温度は38度。何れも放射赤外測定温度計による計測です。)

ついでだからこの冷却器の取り付けにまつわる注意点をひとつ。

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純正を含める全ての説明書には、冷却器を固定する土台部の固定に際して、添付の樹脂製のちゃっちいピンを使えとあるのですが、右の写真の様に、ガッチリと締め付ける全ての力が集中する場所にそんなの使うのは絶対やだ、なワケで、はたまたintelの純正セットの中には、何処をどう使えというのか、ナットの無い片割れのネジ、しかもISO規格に合致しないアメリカ規格のもの4本が、無用の長物として添付されてきて期待を裏切るわけで・・
ということで、土台部の固定には別途購入したステンレスのビスとナットを使っています。熱膨張によって基板を少々締め付ける可能性がありますが、基板の材質フェノール樹脂がそんなヤワなものでもなし、怪しい樹脂ピンが熱劣化ではじけ飛び、冷却器がそのまんまゴロリと取れる事を心配しながら毎日過ごすよりは、100億倍マシです。
また右の写真でお分かりになるかと思いますが左端にRDRAMが見えています。冷却器の改良処置を行わなければこのド真ん前にファンのモーターがやってくるワケで、そこから垂れ流されるノイズの影響が非常に心配となるところでした。


intermission


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自作!チーズドッグとパンプキンスープ

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布テープスペシャル

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自作!二重遠心式集塵装置(エアクリーナー)
右は製作中の写真。吸気口の外観。

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吸気消音・反響消音も兼ねており、主材質の
アルミ板の裏もまた、布テープスペシャル

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仕組みはこんなの。
キャブレター時代の自動車エンジンの遠心式エアクリーナー
にヒントを得て開発しました。集塵効果、消音効果は絶大です。
ファンに付けるフィルター式の物が売られていますが、吸気効率、
メンテナンス効率、消音能力の全てにおいてこちらのほうが良いです。




dengen.jpgbutton.jpgdengen-ushiro.jpg

長かった消音・静音化への旅も終盤、いよいよラストボスの登場である。
それは、また今回も最後まで王位を継承していた電源装置、その冷却装置である。いよいよ、これまで蓄積したノウハウをぶち込むべき時がやってきたのだ。
さて、前に書いたようにこのXEON用電源装置、小型・大容量を謳っているゆえの高発熱を予想しているのか非常警報装置とそれから非常用自動冷却装置などという航空機並のシステムが搭載されているのである。そして常用稼働の冷却タービンは、パルス監視の高速ファンが、これまた排気抵抗たっぷりの安全網の後ろでバンバン回る仕組みであった。そのあまりの本気さと、その重厚な作り、そのまんまズッシリと重い本体に、少々戦意を喪失してしまった事を恥ずかしながら書いておく。
2基CPUを全開計算にしておそるおそる様子を見ていると、その五月蠅い排気タービンのおかげか、電源本体がヒートアップしていく様子は全然観察できなかった。大がかりな警報機をつけるわりには、基本的な冷却アベレージとクリティカルポイントとの間を余裕をもって設計している様子に見えた。静音化への目途、第一歩である。
そこで最初に取った行動は、ひとまずこの、見かけも美しいシステムにメスを入れるのは保留にして、騒音だけ減らした状態にし、一定期間様子を見ることにしたわけだ。
そこで・・・

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手曲げマフラーの登場である。
以下ではマフラーの仕組みを少々。

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黎明期の日本車、オートモ号内部想像図(私作)より。

マフラーとは、排気の温度、そして圧力を下げることによって、また、干渉させる事によって、その騒音を減らすための役割を担う装置である。つまり、排気システムから排気口エンドまでの距離を稼ぐ形の物と考えてほぼ良い。また、排気させようとする機械にとって、排気抵抗を悪化させ空気を吹きづらくさせる物、と捉えておいてほしい。
構造的には、内部は空洞の連続。しかしながら流れる空気にとっては迷路のような場所となっている。現代の自動車のマフラーは非常に複雑なシステムになってしまい参考にしにくいので、図例では1世紀近く昔のマフラーを使用した。先日復元された同車は、簡素ながらもちゃんと機能するこのマフラーによって、それなりに消音された排気音を奏でている。だから、一口にパソコンにマフラーを付けた、といっても、複雑な装置を製作したわけではないので、トライしてみたい方は気楽に考えて欲しい。

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そしてこれが自作マフラーの中で何が起こっているかの想像図。めちゃくちゃに排気抵抗をかけてあげて干渉、静圧。その空気がU字管をぬけて排出される仕組み。
材質は0.3mmm厚アルミとガムテープのみ。アルミのバリも騒音の元と成り得るので丁寧に織り込んでおいた。そして二重構造の接合箇所となる部分は、密着させるわけではなく布テープの弾力性を利用して微妙な可動部とし、内部全てに貼ってある布テープと相まって消音効果を徹底的に発揮するように製作している。これと同じくして電源本体との密着方法は、写真では只単に張り付けているように写っているけれど、これは中で二重構造になっていて、そこは丁度ホバークラフトのエアスカートを習って、アコーディオン状に折り返した布テープ接点によって密閉。先に紹介した写真の被写体メイン左端に僅かに垣間見れてます。
ちなみに全ての板金作業は手曲げです。
ちなみちなみにWarringのシールはビジュアルのため。

そして伝説へ・・・


マフラーをつけたとはいえ、それは結局ラスボスを倒したわけではなかった。あれから三ヶ月。ついに決戦の時がやってきたのだ。
マフラーで静音されたとはいえその中では定格12Vで回るファンが、実に苦しそうに回っているわけである。そして換気効率も宜しくない。極めつけが、完全な静音となっていたわけではなく、内部の反響で情けない音を拡声しているその音波。丁度、某走漫画・頭○字Dのイツキ君のAE85レビンのマフラーを連想していただければ、大凡に的確であるかと。ぶボヘヘヘ・・・
さて、マフラー設置期間の三ヶ月間、例の警報装置が臨界点突破を叫ぶ事は一切無かった。あれほど排気効率が悪化し内部の冷却が相当低下していた筈なのにである。よってここに、いよいよファン低回転化に取り組めることへの確信を打ち立てたわけだ。

かぱっ

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二重抱き合わせ構造で息づく基板。圧巻。(左)
その配線方法、ここまでいくと人間的というより内臓的。(中)
整流器なのかクランプ検流器なのか、それとも加速器か?!(右)

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警報管制装置を発見。赤ランプ点きます、ブザーも鳴ります。(左)
ヒートシンクに設置された温度計。(右、中央白い部品)

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レギュレータヒートシンクのバッファ厚が嬉しい。
低風量でも必要冷却時間が相当稼げる。
それにしても驚愕的部品密度。設計者は天才だ。

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配線仮止めテクニック。(左)
人工心肺装置ならぬDC/DCコンバーターで12Vから6Vへ。(中)
変圧線、常圧線のハンダ付け。それからパルス検知線のバイパス。(右)

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配線一式を内部にまとめ、ますます複雑化した内部。
「術式終わり!お疲れさま!」
「帰ってメシにしようぜ」

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外付けされたDC/DCコンバータ。
右は完全に組み上げた状態の写真。

一通りの行程を一気に紹介したわけですが、この中で2点、重要な箇所をさらにご説明。
ターゲットのファンは3線タイプ。普通に赤が+、黒が−。更に白の電線が、先の危機管理装置に向かっているわけです。この線はだいたい相場として、パルス信号といういわゆるモーターの回転速度を示す簡単な信号を出力している電線なわけで・・、要するに例の管理回路はファンの回転をそれなりに監視していると考えるべきところ。管理回路は見た限りそんなに大がかりなICは無く、おそらく最低時間の間にパルスを検知させれば良いだけかと思い・・・、つまりだいたい、回転数を計測しているというよりも、回ってるか回っていないかを見るためのパルス、と考えました。そしてとにかく、この白い線は一切切断せずにバイパスさせておくわけです。そして残りの赤、黒をそれぞれDC/DCコンバータに入れて変圧してあげて、全体を6Vで駆動。そして成功。わざわざDC/DCコンバーターを使ったというのは、先代沈没時に手元に余ったから、というのだけではなく、固定抵抗で電圧を下げた時にまた変な警告が出るのが面倒だな〜、という気持ちがあったゆえ。ついでに云えば・・、400W級大容量精密電源の冷却を前に、自前の計算に自信を持てなかったから、というのもあったり。お恥ずかしい。
で、DC/DCコンバータによる変圧が最も確実かと判断したわけです。
そして次に、6Vに変圧されたところで、やはりコンデンサーが必要となりました。システムの電源が切られてファンの回転が低下していく時、電源内部の大容量コンデンサーにはまだ電荷が相当残っているようで、その電荷によってまだ作動している警報装置が、ズバリ、警報を出しました。ファンが停止状態へと一気に落ちていく時のパルス信号(例の白線)の開きを、どうやら早々に異常と判断してしまう様子。



無くなっていく電力の中、最後の力を振り絞り、懸命に圧電ブザーを鳴らしだす。そしてその音が次第に小さくなっていく。なんて健気な機械なんだ。
あまりにも罪悪感を感じてしまい心に来てしまってダメ。・・・と、悲壮感漂いまくる、あの静かに燃え尽きていくような音は二度と聞きたくない。よってファン手前にコンデンサーを付けてファンの定格回転時間を稼いであげることでこれを解決しました。

ラスト。

ushironofan.jpg

その造形の美しさに切り取れずにいる後部ファンのグリル。
横から見るとそれはもう、にくいまでの段の付け方、感動。
その膨らませ方、結構騒音対策を意識している。
よってココはファンの煮詰めで取り組んでいこう。



レッスン3・まとめ
・基本に忠実。応用全開。ノウハウ炸裂。
・不全箇所は直ちに改良すべし。
・自動車の雑学を応用してみると結構楽しい。



世間ではいまいち冷たい目で見られるデュアルCPUのコンピュータ。その情報ページも非常に少なく、私的に静音化のページは見たことありませんでした。そして、デュアルCPUコンピュータはおろか現代のパソコン(2002年現在)の多くには妙な先入観が蔓延り、やたらと五月蠅いパソコンが出回りすぎています。

このページはあくまでデュアルCPUのパーソナルコンピュータを静音化するための手引きとして編集いたしましたが、一般の自作AT互換機はもちろんのこと、五月蠅いメーカー製パソコンに頭を抱えられている方にも、なんらかの手助けとなれば執筆者として嬉しい限りです。そして、HTML文だけで既に50KBytesを越えるほどのページをこれまで読んでくださった方々には心から感謝申し上げます。ご精読ありがとうございました。
また、至らない箇所や間違えた知識の箇所、多々あると思いますが、そこはひとつ広き心をもってご笑覧の後ほど、そっと教えてやってください。感謝文を以て丁重に修正したいと思います。

最後に下記へ、ご感想などをくだされば非常にうれしいです。
このページへの直リンクについてのご相談も承ります。

長い閲覧、どうもありがとうございました。

posted by mao9821 at 00:00| Comment(0) | 読み物
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