コグニティブシステム(IBM Watson)は、小数点をどのように扱ってくれるのかふと気になった。というのも、私が手書きで為替の時系列データを扱うとき、ドルストレートあるいはユーロクロスそれぞれ、小数点から左側の数字は無視している。だからこういう表記になる。カッコ内は本来の数字とその意味。
EURUSD 09415($1.09415/€)
GBPUSD 48099($1.48099/£)
EURGBP 73867(£0.73867/€)
人間の脳内では、これが小数点を含む数字であることを容易に認識できるのだが、ノイマン型コンピュータでは超絶大混乱を起こすことは想像に難くない。
特にユーロドルでは、0.9か1.0に頻繁に移り変わった時期には1.を書く時と省略する時が入り乱れている。
さらには、自分でこうタイプして書き出すと、ユーロポンドとユーロドルの所在が混乱してタイプミスしたりする。脳内では、手書きされた紙面上のカタマリ印象としてもや〜っと表記位置が認知されていて、もはや、それがどういう銘柄ペアなのかがどうでもよくなっているからである。けれど数字の印象はなによりも鮮明に扱われる。指を使って書いた数字とその要所が瞬時に暗算される。主目的は本質的にレッテルとは少し違うところにあるからだ。
コグニティブシステムは、人間のそういう…、コンピュータがブチ切れるであろう曖昧さをどう理解してくるのだろう。すっごく気になったのでメモしとく。
ワトソン「あの、ここ全角なんですが」
にんげん「うん、全角でいいよ」
ワトソン「じゃここも全角ですね」
にんげん「ちがうだろ!ここは半角なんだよ!!」
ワトソン「朕茲ニ戦ヲ宣ス」
そもそも、数字や言語というのは本質的には デフォルメ である。尺度、ともいえる。
タコメータになぜゲージという尺度がついているかは、エンジンがどの回転でどれくらいのエネルギーを発生させることができるかという目安を人間が把握しやすいようにしているためだ。が、その人間といえば、実際にはエンジンの音とか振動といった肉体的に読み取れるリアルタイム感覚に頼ったりする。それは、尺度、のようにブツギリのバッチタイム感覚とは異なる。そこでは尺度とは必須ではないのである。なぜならば、進行し処理されるべき案件は、尺度の存在を求める必要はない。ただただ、そこで進行しているにすぎない。案件は案件としてただそこに存在して、それをどう捉えるかというところからは完全に独立している。
数字や言語は、うつろう世界のあまたを人間が捉えやすくするために長い年月のなかで生み出され、人間と一緒に進歩してきた。同時にそれらは、時によく無視される。
コグニティブシステムはそんななかから自然発生したと言っても過言ではない。人の意志の要請をうけて作られたとはいえ、そんな人間の要請意志さえ、長い流れのなかでは自然発生に等しい。そして人はまた、それらを無視する日もやってくる。
コグニティブシステムは自身の誕生について、どのような見解をもつに至るのだろう。とても興味深く思っている。
2016年03月29日
コグニティブシステム考
posted by mao9821 at 02:55| Comment(0)
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