
アーク放電をする我が反応炉。うそです。
PC-9800シリーズに親しんだ時代に夢見たようなパソコンが、今や目の前にある。
しかしそれを構成する部品にはひとつも日本製がない。まあ、半導体の露光剤とかコンデンサーの和紙とかステッパーとかダイヤモンドカッターとかそういう中間製品や製造装置は日本が強いんだけども、そういう利益率の良い半製品とは異なって、目に見える形の日本製部品は消え去って久しい。あの美しいPC-9821シリーズの基盤やLSIに誇り高く刻印されていた Made in Japan はすでに無いのだ。
…でも現在、楽しいっちゃ楽しい。
今回は久しぶりに、現在使ってるパソコンを語ります。(内部メンテで思い立った)
一昔前は、パソコンというものが日進月歩であった。PC-9800やTOWNS、X68000といった美しい国産パソコンの時代が終わり、NECと富士通の不断の努力をマイクロソフトは、尊い犠牲へとコンバートした。Windows3.1は機種間の垣根を爆破していった。そしてWindows95とともに自作PCが一大ブーム化した時代。
ところが自作PCというものは、できの良い国産PCに慣れた視点からすれば、あまりに粗雑な工業製品であった。高性能なCPUを安価でとにかく使いたい、そういう需要と進歩の速さが、粗雑さを当然のものにしていたのだった。自作PCとは、その欠陥の多さを如何に工夫してうまくまとめるかという試行錯誤と、その莫大な達成感に嬉々として酔いしれるものとなっていった。
だがiPhoneを筆頭にスマートフォンというものが生まれて以降のパソコンは、完成と、供給過剰分の縮小を辿り、自作パソコンというものにはかつてのような魅力は失われて久しい…かのように見えるが実はそうではない。
中国製部品の品質が桁外れに向上した果てに、美しい体裁で整えられるアルミ製品の数々は、吟味さえすれば、ついに自分が心から納得できるパソコンを作れるように成ってたのである!!
まずこれを見てほしい。

これは私が90年代のどこかで夢に描いた、デスクトップパソコンの理想像のひとつである。Itaniumが採用されていることから2002年以降に描き直したものと思われる。
この絵から私の深層心理に存在するパソコンとはかくや、の諸条件を抽出していこう。
・PC-9821シリーズのような事務機系デザインを持つこと
・液冷であること
・縦置きであること
・SGI Onyxのようなフロントインジケータがあること
・ぶっ飛んだ性能であること
・いちばんいいやつ
たしかデュアルPentium3xeon機から乗り換えたNetBurst時代最初のXEONデュアルプロセッサのPCを作った時代に描いたはずで、当時のCPUは1.5GHzだった。3GHzはその後易易と達成されたが、3〜5GHzあたりで10年うろうろやっているのが感慨である。…て、え、テラヘルツ…だと?
メモリもストレージも2002年頃に空想した内容とは思えぬほどぶっ飛んでいるようだ。未だに達成されていない。ちなみにモデルナンバーの209は、デザインが最も大好きな209系電車から。S3 Vision959 は言うまでもなくポルシェ959である。S3社はポルシェをリスペクトしたナンバーをグラフィックチップに与えていた。86c928、Vision964、Vision968、我が青春のウインドウアクセラレーターである。
さて。
こうした空想を膨らませたあと、時代はめぐり、コンピュータの性能は向上した。合わせて、コツコツと欲望を叶えていった。例えば、シリコングラフィックスの1億円したジオメトリースーパーコンピュータOnyxに感銘を受けていたフロントインジケータは、デュアルPentium2機、デュアルPentium3xeon機、デュアルXEON機すべてで搭載させていた。
そして飽きた。かように私の価値観もいろいろと変化していく。
そのなかで最も特筆されることは、
・でかいのヤダ!
・駄肉を削れ!
という、ぷちぷちダウンサイジング思想が醸成されたことである。こればかりは日本人の本能なのであろう。自作PC全般がもつ駄肉の多さ、あらゆるケースのバカでかさが次第に耐え難いものになっていった。そりゃ1995年の頃は、聳え立つGatewayの巨大なフルタワーとかに憧れたりしたものですが。でもだめ。もうだめ。重い!邪魔!いいかげん小さくしろ!
で、そこから様々な遍歴があるのだが、そのお話は機会を改めるとして、2つの結論に到達していた。
ひとつは、17インチのノートパソコンバンザイ!

友人Shiba氏のMacBook Pro 2012 17型と近影、我がVAIO。最後のSONY製VAIO、17型、2012年型。気に入っており2019年現在も使ってる。本当に実用的な無難なサイズにすべてまとまってるというのは本当に優れている。売れなかったが、本当に実用的なノートパソコンは17型だ。

そして、Mac miniである!!
2005年、Mac miniを見たときは、すべてを精算して乗り換えたほどだった。PowerPC G5のiMacから、G4のMac miniに乗り換えたほどだった。その後継もMac miniだった。intel Core2のiMacからCore2のMac miniに
あのバカでかい”設備”がこのサイズになったんですよ!!
しかも圧倒的に高性能!!超高速!!!
本当に感動したその2007年モデルを、2018年まで現役で使った。それくらい愛着がある素晴らしいメカである。パソコンとはこうでなくては!
そういえばMac miniを賛美するようなことを語らずじまいだったなあ。それくらい完成していて、当たり前のように存在していたわけなんだなあ…

そんな2007年型Mac miniも天板を黄ばませた頃。2010年代も中盤となって。
ストレージの規格が一段と小さくなったことから、デスクトップPCはここまで小さくできるようになったのである。
intel NUC。Next Unit of Computing、だったか。これがまたMac mini大好き人の心を鷲掴みにした。
このシステムの魅力はサイズにとどまらない。その電力消費の少ないことといったら!
システムのアイドルでたしか7.5Wくらいしか食わなかった。フルロードにしても20Wくらいしか。
でもってこんなサイズに、2コア4スレッドのCPU、16GBytesのDRAM、128GBytesのSSD、1000BASEのネットワークに866Mbpsの無線LAN、6つのUSB3に、2画面分のディスプレイ出力(MiniHDMIとMiniDisplayPort)がまとめ上げられている。CPU内蔵のグラフィックも常用には大変強力で、WUXGA1枚、WQHD1枚をガッツリ描ききる能力がある。QSVまでついてるのである。申し分なかった。素晴らしい。もはやこういうサイズでパソコンが成立するのだ!
かくてパソコンとは小さくなくてはいけなくなった。
ただ、NUCの能力は、苦痛に感じる人には耐え難いほどの能力不足がある。NUCのCPUはノート用であり、デスクトップ用CPUよりキャッシュメモリが半分か1/4くらいに減らされている。結果、タスクスイッチに弱く、体感ではやたらともっさり感を感じさせられるのである。あと私が持っていたNUCは周波数が、1.4GHz〜2.8GHzという範囲であり絶対的処理能力として結局は非力であった。
だが私は主な用途をかなり限定して使うし、そうでなくとも、非力なシステムに詰め込めるだけ詰め込んでみることにためらいがない。極力最小限の省エネのシステムでどこまでできるのか、いつだって興味の対象なのだ。
が、それでも、使用1年を超えたあたりでキツく感じるようになった。時同じくして、AMD Ryzenが登場、そのシステムを導入するのだがそのお話は改めて。…いや、軽く触れておこう。
2017年秋。こんなぶっ飛んだシステムを作っていた。機会を見て改めて語ると思うが、たしか9月末だったか。
日舞の鑑賞に早稲田大学に行ったその帰り、寒くなってきた秋風に吹かれながら考えていたことは、当時流行りに流行っていた暗号通貨のマイニング…から出る膨大な熱量をエアコンの熱源に転用できないものか。ということだった。

時同じくして、場帳書いて監視していた暗号通貨のひとつが、対円で理想的な上昇相場を作り始めた。私は最初の建玉を持った。それは一晩で倍の含み益になったところで停滞相場に移行した。ただし主軸の暗号通貨がまだまだコケる兆候を見せていなかったから、手仕舞う予定はなかった。のみならず、買い増しを実施した。計算をすると、実勢相場よりもマイニングによって得られる平均価格が割安であり、実勢価格とマイニング報酬平均価格とは巨大な鞘が開いていた。そこで私も、マイニングを行うことにした。マイニング報酬投資と変動相対相場買い付け投機を同時に行ったそれは、マイニングシステム資産価値もソロバンに入れて、約半年に及ぶ大掛かりな投機に昇華したのである。しかも、電算エネルギーの転用実験を兼ねて。
Mac mini以降ゴリゴリの節電主義者にもかかわらず、こうした判断に至ったのは、最良のタイミングが重なりに重なったからという理由に尽きる。あの相場の上昇トレンドの起点が夏だったらば絶対にやらなかった。かくてマイニングシステムから発生する熱量を暖房に使う実証実験を行う機会に恵まれたのである。
初代RyzenにNvidia GeForce GTX1080を搭載した久々自作パソコンはそうして生まれた。
当初は、安価に入手できたGTX1080を、余ってる富士通のPCを改造して動かそうとしていたのだが、動かなかったので、そこから新造パソコンが生えてきたと言ったほうが正しい。Ryzenとかいう新しいAMDのCPUを試してみたかったのも叶ったのであった。
で、主にGTX1080を常時フルロードにした熱量を直接室内に放出した場合、それはどれほど暖房にできるものかと観察した。たしかに結構な熱量は出ているのだが、昼暑く夜寒く雪が降れば凍えるという実験成果が得られた。束にしてヒートポンプの熱源にし、地域冷暖房の熱源機として設計できそうではあるのだが、1台程度ではとても歪な成果となっていた。
暗号通貨のほうは年初あたりにテンバガーを見た。建玉が複雑だったので暴落も扱ったが、トータルは無傷に終えた。ただいかんせん24時間ぶっ通しで土日も休めなかったので、いわゆる仮想通貨取引というものは疲れるものだということを学んだ。
そんななかで、この高火力システムの痛快な性能を様々に使い、馬力のあるパソコンの素晴らしさを存分に味わっていた。なかでも、GeForceGTX1080による映像のエンコードは、あまりにも素晴らしかった。フルHD映像のエンコードが500〜1200fps、しかも仕上がりはQSVは論外、CPUエンコードよりも数段綺麗!という速度と品質を見た時、もはやx86プロセッサの時代がとうの昔に終わっていたことを知ってしまったのである。
だけじゃない。馬力のあるCPUもアイドル時の消費電力はとても低く抑えられるようになっていた。そしてブン回るべきときにはしっかりブン回るから、さっさと作業が終わる。トータルで節電になるのだということに気づいてしまったのである。
なにより、ストレスフリー!!
その後少々の遍歴があるのだが今回は省略する。いずれ述べよう。
ともあれ、パソコンとはかくや、の諸条件はこのように変化した。
・Appleのような調和的デザインを持つこと
・液冷であること、ラジエーターが格好良く見えること
・凝った軸流ファンの採用
・シロッコファンの採用
・小型
・ぶっ飛んだ性能であること
・4GHz以上ぶんまわること
・節電型設計思想のあるプロセッサ類のなかでいちばん馬力がいいやつ
それは中華人民共和国からやってきた。
なにせ国内流通がない。製造元はきちんと在庫を持っているにもかかわらず、どういうわけか日本市場というのは酷い体裁主義で、ちょっとでも欠陥があると受け入れない。そのくせ体裁さえ整ってればゴミのような製品を平気で売ってしまう悪癖がある。なお悪いことに、中途半端にそういうものが売れちゃう。自作PCの筐体など大半がどうしようもない残念な出来だと思う。多く売られている物のすべてにおいて、私は全く魅力を感じてこなかった。片やiPhoneはバカ売れだ。美しいものは根本的にちゃんと売れるのである。
体裁に欠陥があるというのは、本当にちょっとばかり手を加えれば修正が可能であり、途端に素晴らしい完品に化けるのである。
それがこの筐体ベースの製品名だ。ジョンスボ( ´∀`)はメーカー名。言い慣れてくるとなんかカワイイ。でもヤンスバとかって発音が近いんでしょうかね?わかりません。
Jonsboはアルミ製品の製造に長けていて、中国製品のなかでは品質が高い。ひょっとしてかつてのMac Proの生産に関わってたんじゃないか?というくらい技術力がある。ご愛嬌な部分はゼロじゃないのだが、押さえるべきところは押さえてあって、全体の完成度が高く私は好きだ。実はここの製品を買うのは初めてではない。
本品はminiITXマザーボードを収め、当初はAtomクラスの低速システムをSFX電源で動かす構成として設計され2014年頃に売り出されたものであったらしい。しかしその後少しずつ更新され、側面ガラスパネル搭載、最終的には馬力のある汎用ATX電源を飲み込み、miniITXでも大馬力のCPUを積むことが出来、2スロットを使うグラフィックボードを押し込めるだけの構造をもつに至った。ちょうどminiITXマザーボードの高性能化とともに歩んできたケースであるともいえる。
それゆえに懸念されるのが排熱構造ということになる。
この製品はそこに少しの欠点がある。だが私は少しの修正をし、納得の行く結果に達した。
まず基本的に、本製品のエアフローはとてもよく考えられている。ただ詰めが甘い。それは、SFX時代の思想を残しているからである。
修正点は大きく2つ。

電源の冷却ファンの向きを、吸気から排気へ反転させる。
あと、ラジエーターに2mmほど干渉した電源固定金具を少々加工している。
つぎに、

背面の排気口を拡張する。ついでにグラフィックボードのスロットも排気性能向上を狙って拡張する。
全部アルミなので加工は容易であった。排気口のパターンは、全部抜いてしまうよりちょっと残してあるほうがいいな、と。ファンの軸流との干渉を考察しつつ、模様化もして調和させた。
さて、では、組み上がった姿を紹介しよう。

一瞥、電源のケーブル類に押されてグラフィックボードが傾いているように見えるがそうじゃない。微調整してもどうしてもこうなるので、マザーボードとスロットの関係にわずかな問題があるのだろう。そしてグラフィックボードの自重で傾いてしまう。自作PCではよくある事で、ちゃんと動くし気にしすぎてもしょうがない。スモーク強化ガラスで覆われると全く気にならなくなる。
エアフローは下から吸われ上に向かう。下面はエアフィルターがついているが、エアフィルターのないスリットもある。そういうザルは微妙といえばそうだが、下部の吸気空間の大きさが遠心エアフィルターの効果があり、ホコリを相当沈殿させる。
吸い上げられた冷却風はグラフィックボードを冷やす。その排気は即排出される。グラフィックボードに吸われなかった風は、複雑ながらもストレートに登れる空間が3系統あって、1つは手前から上に登り、シロッコファンによるサーキュレーションによってマザーボード表面と表面SSDとVRMを冷却し、背面から排気されるか、上部ラジエーターのファンに吸われて排気される。2つめは、マザーボードの裏面から上り、マザーボード裏面と裏面SSDを冷却し、ATX電源を冷却して上部ラジエーターのファンに吸われて排気される。3つめは、右端つまり本体前部のケーブルスペースを登って電源を冷却して上部ラジエーターのファンに吸われて排気される。
筐体は全部がアルミなので、その放熱効果も極めて高い。

インテル純正オプションの密閉型液冷システム(いわゆる簡易水冷※)のラジエーターを冷却するファンは、構造干渉の都合でより薄く、その限られた範囲で最高性能となるNoctuaのファンを採用。オーストリアのNoctua製品はとても精密に製造されていてバランスもしっかり取られている(製造は台湾だそうだ)。こうした冷却ファンで、回転バランスをきちんととって出荷する製品はとても限られている。そして羽根の設計がとても良く、ラジエーター冷却に必要な静圧を十分稼げている。
※でも「簡易水冷」という言葉は、ヒートパイプ式ヒートシンクにこそ使うべきだと思う。アレ、純水が入ってるんだから。自分で配管する水冷システムは「開放型液冷システム」と呼ぶべきで、”本格水冷”という言葉は適さない。水漏れにビビりながら扱う装置が本格なものか。簡易水冷と呼ばれる製品のほうが相当なR&Dがなされている。本来このパッケージングこそ本格の称号にふさわしい。
なお、この密閉型液冷システムの設計製造元はASETekというデンマークの会社。ユーロネクスト・パリに上場する企業で、あの「超頻芭蕉扇」の時代が終わったあとに勃興した、品質が向上した水冷装置のパイオニアである。パイプの継ぎ手の設計製造はかなり工夫しているようで、とにかく漏れないようにこだわっているとか。
ちなみに私はこれがはじめての買い物ではない。このメーカー最初の製品がヒューレット・パッカードに卸されており、それにより冷却されるXEON W3520搭載ワークステーションを持っていた。機会があればその話もしよう。

凝った軸流ファンはもう一つ採用した。シルバーストーンの非対称翼のファンである。全然売れなかったらしい処分品に気づき、目を輝かせて購入した。この翼形状は、保護網のような空気抵抗に対して静圧と風量をかなり稼げるらしく、さらには静音性能に長けている。ただしバランスが悪いので振動が出やすい。そのためショックアブソーバーによる懸架とした。…ただの防振ゴムだが。
それにしてもこの三点支持からダクトの曲率といい、
素晴らしい造形だ!!

大好きな造形が、両手の範囲に収まるくらいコンパクトにまとまった光景というのはとても幸せである。このシロッコファンとかッ!!
液冷の弱点はマザーボードが冷やせないことにある。特にこのマザーボードASUS H370-Iはとにかく高密度実装であり、チップセットのヒートシンクが第1SSDを包むようにしてSSDのヒートスプレッダを兼ねている恐ろしい構造をしている。一応それでなんとかなるらしいのだが、個人的には耐え難い。そこで、シロッコファンを搭載し指向性のある送風を行っている。この風はVRM界隈にも送られる。5V駆動で静音化してあるが、定格で馬力があるので、低電圧駆動でも風量は十分ある。
で、このシロッコファン。かつては千石電商とかで500円くらいでいくらでも手に入った。ところが!!最近の秋葉原ではこの手頃なサイズのシロッコファンはなかなか売っていないのだ!!探しまくって結局は千石電商にたどり着いたのだけれど、なんか3,600円くらいした覚えがある。秋葉原もずいぶん変わってしまった。
ああ、あとね、このシロッコファンを固定している金属ステー。これだけが堂々と日本製をうたった製品である。(笑)

ウインドウアクセラレーターもといグラフィックボードはNvidia GeForce GTX1070 Founders Edition。つまるところ定格コテコテのリファレンスモデル。オーバークロックとかはないけど、めちゃくちゃカッコいい。個人的需要はGTX1070で丁度よい。節電傾向もあってバランスが良く、大好き。
で、このシロッコファンが実に高品質。バランスがしっかり取られていてブレも振動も皆無。自動制御で低回転から高回転まで自由自在。このシロッコファンによるグラフィックボードの専用強制冷却によって、この排熱は直接排気されるため筐体内にはグラフィック系の熱はほとんど澱まない。
なお搭載には少々のコツが要るほど、ミリ単位にきっちきち。

シーソニックの650W電源。先述のように、冷却ファンの方向を反転させてある。私は江戸っ子なのでintel insideシールはここに。
電源はフルモジュラーではなく、マザーボード用とグラフィックボード用1系統が最初から直付けで用意されているセミモジュラー型。たまたまこの電源を持っていて、この筐体にベストマッチしたのだが、もしフルモジュラー型を用意してしまうと、マザーボード用のゴツいコネクターの突出がグラフィックボードと盛大に干渉して詰むであろう。UMX1で組む場合はセミモジュラー電源が理想である。電気的にもそのほうがずっと良いしネ。
なお一番下のあたりにある黄色い線はシロッコファンへの分岐をかねつつ、起動時の
ピポッ☆
を鳴らすための国民機起動音発生装置 PiPo Ver6.2に接続されている。
やはりパソコンの起動はピポッが鳴らなくてはいけないのだ!

遅ればせながら採用CPUについて。intel Core i7 8700。KなしでリミッターのあるCPU。定格3.2GHzだが常用の大半の時間においてターボブーストにより4GHz以上で動いてくれる。TDPは65W。一時期Z370のマザーボードで動かしていたときはTDPを無視して4.5GHzくらいで動き続けた。ただ、H370で動かすと、全コアフルロード時にはTDPを厳守させるべく早々にサーマルスロットリングを作動させ3.6GHzくらいまで下げてしまうという残念はある。だが、カタログスペックの3.2GHzはどこにあるんだ、というくらいターボブーストによる定格オーバークロックが効き続ける。とても良いCPUだと思う。12スレッドもあるのに電気食わないんだよ!!(一番重要)
ちなみにこのCPUの3次キャッシュメモリは12MBytesと巨大である。その超高速なメモリのための超超高速なトランジスタが10億個くらいは軽く入ってる。すごい時代になったものである。さておき、その3次キャッシュで…
Windows3.1を動作させたら!!
さぞや一瞬で起動するんだろうなあ…
(Windows3.1は3.6MBytesのメモリさえあれば起動した。推奨は5.6MBytes以上。12MBytesもあればOSの主要部が全部メモリに乗ってしまう。)
ふぁふぁーん♪
話を戻そう。

マザーボード表側の第1SSD。PCIe x4接続NVMe。先述のように複雑なヒートスプレッダに包まれる。そのヒートスプレッダには別途にヒートシンクを取り付けてある。
SSDはSAMSUNG製。かつてヘッドハンターが札束を握りしめて日本企業から技術者を吸い取りまくっただけのことはあり、出来上がってきた製品そのものには罪がないとすれば、とても良い製品だと思っている。日本企業の経営思想にむしろ罪または限界があっただけなのだ。
個人的には純intel製(Micron製ではない)、東芝製、SAMSUNG製のNANDフラッシュメモリを数多く使ってきた中で、最もエラッタが少ないのは悔しいかなSAMSUNGなのである。Appleのシステムにも大量に使われていて、ストレージが故障したことはただの一度もない。対し昨今、価格を売りにするM.2 NVMe SSDが出てきたが、レビューを観ると悲喜こもごもでなにかと問題を感じる。私は、きちんと無難に動く製品がほしい。
なお半導体産業というのはきれいごとじゃない。日本がかつて席巻したことだって、米国の文献の海賊版に支えられていたのだから。それほど移ろいが激しく生き馬の目を抜く超絶投機の世界なのである。国粋感情など持ち出せる暇は無いのだ。何かやるからには世界を独占しに行こうぜ、日本企業。

マザーボード裏側の第2SSD。PCIe x4接続NVMe。2つのSSDをRAID0で組んである。ランダムアクセスの低下はあまり見られず、シーケンシャル性能はバカっぱや。実は今回のメンテは、RAID0はランダムアクセスでかなり不利になってるんじゃないか?スタンドアロンで組み直そうか?という疑念から。ところが計測してみたらRAID0で全く問題なかった。

パソコンパーツショップ行って、はんぺんください!というと出てくる大型肉厚の熱伝導ゴム。これで第2SSDの熱や、CPUの裏側あたりのマザーボードの一部の熱をアルミ筐体に直接伝えている。良好な冷却性能が得られている。

火入れをしたところ。intelマークは実際にはもっと明るい。

ラジエーターはこちらが常用。先に掲載したものは試用品。常用はピッチが広く厚みがあってエチレングリコールの量が多い。

組み上がった状態の背面。特にグラフィックボードの排気はマキシマム。とてもよく冷却される。

スモーク入りの強化ガラスパネル越しのGeForceのロゴ。
カメラ越しだとガラスの反射がかなりあるので、このくらいでご了承。
実際にはGeForceとintelのロゴが綺麗に浮かび上がっていて申し分なし。
以上、久しぶりのパソコン話でした。